犬の去勢手術(雄:精巣摘出術)につきまして
右写真は、去勢手術直後の写真です。ペニスの根っこ付近(陰嚢よりも頭側)の皮膚を2cmほど切開して、両方の精巣を摘出します。写真下の方に縫った糸が見えていますが、約10日後に抜糸します。
当院では、犬の去勢(雄)および避妊(雌)手術の際には同時に遺残している乳歯を抜去することをお勧めしております(去勢および避妊手術費用以外には、追加料金は原則いただいておりません。もちろん乳歯抜歯のみをご希望の場合は、諸費用が必要です)。犬歯の永久歯は、だいたい6-7ヶ月に生えてきますが、小型犬では1才近くにならないと生えてこない場合もあります。永久歯が生えているのに乳歯が残ってしまうことを乳歯遺残といいます。犬歯の乳歯が残っていると、将来必ずと言っていいほど永久歯との間に歯石が付着して問題になります。写真はトイ・プードルから抜去した乳歯(犬歯と前歯)です。乳歯は写真のように、出ている部分の倍ぐらいの根っこがあるので、一般の方が遺残した乳歯を抜くのは不可能です(無理をすると途中で折れてしまいます)。
潜在精巣
精巣が2個陰嚢にない場合、その子は潜在精巣(陰睾)という病気です。写真左が膀胱付近の腹腔内より摘出した潜在精巣で、陰嚢内にあった正常な右の精巣より小さいのが特徴です。これを放置するとセミノーマやセルトリ細胞腫などの腫瘍になりやすく、早めに摘出することが推奨されています。また、精巣1個が陰嚢にあるが、もう1個が陰嚢に無い場合、恐らく生殖能力はあるでしょうが、陰睾が遺伝する可能性が高いので繁殖に用いることは避けるべきだと考えます。