フィラリア摘出術

1.手術の適応症例

 当院でフィラリア摘出手術の適応となるのは、本来の寄生部位である肺動脈から、右心室内にフィラリアの塊 (約20cmの長さの虫が互いに絡み合っている状態) として落ち込み、大静脈症候群 (Vena Caval Syndrome) になっているワンちゃんです。これらは心エコー(超音波)で診断します。大静脈症候群を呈していないワンちゃんは、薬で治療していきます。また、主肺動脈以遠で大量寄生して、肺動脈高血圧症で大静脈症候群を呈しているワンちゃんは当院では手術できません。

 フィラリアは発症予防できる病気です。残念ながら予防をしていない飼主さんが多く、山陽小野田市は市内全域で感染が認められます。このような手術をしなくてもよい日が早く来ればと願います(と、このホームページ作成時に記載しましたが、幸い予防が浸透した影響で、2024年4月現在の直近6年間はこの手術を行わずに済んでいます)。

 

2.手術方法

 心臓の負担を軽減する注射等で状態を安定させながら、全身麻酔下で頸の太い静脈から右心室に向けて写真の特製ブラシを挿入します。パスタを絡めとる要領でフィラリアを数匹単位で取り出します。欲張って大量に絡めると出ないので、何回も繰り返します。犬1匹あたり10~70匹のフィラリアを摘出します。ただし、摘出するのは、大静脈症候群の原因となっている三尖弁付近と右心室に存在するフィラリアだけなので、そのあとは内科療法で治療していきます。当然、その後の予防も必要です。

 

SFTS感染症にご注意!

 宇部市内と山陽小野田市内でSFTSに感染した猫が確認されています。SFTSはマダニから直接感染するだけではなく、SFTSを発症した猫から人が感染発症することがあります。猫は屋内飼育されることをお勧めします。

最終更新日

2024年10月3