春から秋にかけて、草むらで待ち構えていたマダニを"お土産"で持ち帰るわんちゃんねこちゃんが多くみられます。マダニの口は、動物の皮膚にしっかり食い込んだ上、接着物質を出すので容易に外れません。無理に引っ張ると、マダニの頭だけが皮膚に残り、炎症の元になることがあります。右の写真は、わんちゃんに付着していたマダニ(若ダニ:1.2mm)で、病院でマダニ用ピンセットを用いて取り除いたものです。
マダニは、わんちゃんにバベシアという貧血をおこす怖い病気を媒介するだけでなく、人を死に至らしめるSFTS(重症熱性血小板減少症)や日本紅斑熱などを媒介します。ここ山口県は全国的にみてもSFTSによる感染者や死亡者が多く、特に注意が必要です。
また、SFTSに感染した猫や犬から、ダニを介さずに人が感染することも最近発見され、われわれ獣医師としても大きな問題と認識されるようになっています。
当院では、ノミ・ダニの予防薬として、スポットタイプとお菓子タイプをご用意しております。お気軽にご相談ください。
あと、ホームセンターなどにおいてあるノミ・ダニの予防薬は、動物病院で処方する薬と形状は似ていますが、中身は全く違います(似て非なるものです)。ホームセンターのは寄生する数は確かに少なくなりますが、いなくなることは経験上ありません。予防してるけどノミ・ダニがいると言われる方の多くが、実際にはこのケースです。
いつからいつまで予防したらよいの?
予防する期間についてよく質問を受けますが、フィラリアとは異なりノミとダニは年中感染するので、予防も一年中されるのがベストです。確かに12月から2月ぐらいまではノミとダニは少なくはなりますが、いなくなる訳ではありません。実際に予防していない外出する猫さんを診察すると年中ノミがついていますし、11月から2月までの猟期にイノシシを追う猟犬などはいつもダニだらけで山から下りてきます。恐い病気を移される可能性もあわせて考えると、獣医師としては年中予防されることをお勧めします。