先週の日曜日に、たまたま入った図書館の書棚に分担執筆した生理学の教科書の「改訂版」があったので手に取ってみた。獣医学生に心電図を理解してもらう際に、小動物臨床に絡めたら面白かろう、動物を殺さなくてもよい実習内容だから受け入れられやすいだろうと思い作ったのが懐かしい。その図書館でゆっくりする時間もなく、また、非常に気になった点があったので、出版社からネットで購入して精査してみることにした。
書庫の奥から探し出した執筆者として贈与された「初版(写真上)」と今日宅配便で届いた「改訂版(写真下)」を比較してみると、表の配色は多少異なるが、やはり写真や図、本文については一字一句に至るまで笑えるぐらい同じに見える。ただし、出版物としてあり得ないことに、「初版」と「改訂版」で、該当箇所の執筆者名が異なる。なぜじゃ⁈
出版物はすべて直属の上司の教授殿の検閲を受けた上でその教授殿との共著となる習わしを踏まえ、この教科書の初版の担当箇所を執筆したので、「てにをは」の注文を承ったこともあり、それは今更構わない。また、表の配色は異なっているので「改訂版」では共著者が増えた。それも構わない。ただ、執筆した内容はそのままなのに、執筆した私の名前を「改訂版」で消去して、あまり関わっていない人の名前を残すって、これまた大胆なことをなさる。「あいつは脱藩した元家来だから、改訂版作成時に執筆者から除きたい」という気持ちが教授殿にあったとしても理解できなくはない。だったら、構想を練り直して、改訂時に新たに自分自身でそのぐらい書かなきゃ。初版の該当箇所全部の「コピペ」は、イカンでしょ。「コピペ」は! もちろん、執筆箇所を全部削除して「改訂版」を出版しても著作権上の筋は通る。執筆者名をこっそり消すとか、やっちゃダメでしょ!。ダメってのもあるけど、バレてもバレなくても恥ずかしくないのだろうか?
出版社は出版社で、編集ミスでうっかり名前が抜けましたなんてありえないし、そもそも初版の執筆内容に関してのやりとり記録をそっちでも残してあるだろうから、「てにをは」以外に教授殿のoriginalityを示すものがないのを確認して「それはマズイです」ぐらい言わなきゃ!
マニアックな実習の教科書だし、失礼ながらそんなに売れている本でもないだろうから、改訂版を見ないとでも思ったのだろうか? まあ、確かに今週まで知らなかったけど。
当時から最近までの大学の理事長も逮捕された「例のお相撲系」だったし、教授殿においてはご自身の「相撲部屋」だけの範囲ではあるが、事実も'創造'でき、子供じみたAutocracyを堪能できたようだったから、さもありなんとは思う。でも、前理事長が逮捕されて以降、大学改革も加速しているだろうから、そんなの学内でももう許されない筈ではある。少なくとも、獣医系全大学の関連教員が関わって編集されているから、他大学への迷惑を考えれば、普通はしない所業ではある。
「改訂版」の購入明細に、「商品についてご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく、お気軽にお問い合わせくださいませ。」って書いてあるので、問い合わせしてどんな言い訳をするのか興味はある。ただ、お盆休みがあけて診察が始まれば次は暮れまで忙しいだろうから、そんな暇がないし、だからと言って、著作権法上いかがなものかと思うし。
話は長くなったが、要旨は「コピペして宿題を提出したら中学生でも叱られる」ということなんだけど、単純なコピペ宿題より悪質だな。これは。
追記:後日、出版社に電話で該当の本文のどこが「改訂版」で改訂されたのか質問したところ、心電図電極のひとつである「パッチ型」が「粘着シールパッチ型」に変更されたとのご回答だった。そこが、共著者が勝手に増えた理由なのかと笑いそうになったが、ほぼ全部を執筆した自分の名前が「改訂版」で削除されている理由を続けて問うたところ、編集責任者に連絡して回答しますとのことだった。しばらく期間があって忘れていたところ、調査をされた編集委員のお一人の先生より電話があり、執筆者名の変更指示を出版社に出したのは、上司だった教授殿で、なぜ変更指示を出したかは、すでに大学を退職していて大学の関係者でもコンタクトできる者がいないので不明との説明を受けた。編集委員会としても問題視しているということと、責任を負うべき人が音信不通ということ、これに対応する時間もこちらにもないことから、「問題点を指摘した」までとした。別に怒ってはいない。あきれているだけ。