がんもどき(内輪ネタ)

 3ヶ月前のことではあったが、3歳のねこちゃんの腹腔内に、拳大の腫瘤を見つけた。暗い気持ちでFNAしたら、なんと左様の細胞の皆様(すなわち多数の好酸球と一見悪そうな反応性の線維芽細胞、散見される肥満細胞)とご対面。希望の光が差し込んだ瞬間で、例の「がんもどき」(猫消化管好酸球性硬化性線維増殖症:Feline Gastrointestinal Eosinophilic Sclerosing Fibroplasia)を疑った。所詮FNAなので肥満細胞腫などとの鑑別はできないが、肥満細胞腫だったらすでに外科切除の対象ではなかったので、飼主さんと相談の上、Craig,L.E.,et al,Vet. Pathol.,46;63-70のFig.7に示されたカプランマイヤー曲線の結果を信じてプレドニゾロンを中心とした内科療法で行くことにした。

 すると、10日目にはPR、6週目にはCRとなった。現在、プレドニゾロン0.25mg/kg,EODでCRを維持しているので、さらに漸減する予定である。

 シグナルメント、ヒストリー、諸検査+FNAで仮診断して、消化管穿孔や消化管通過障害がなければ外科を選択せず、プレドニゾロン等の試験的投薬(内科療法)が良いのではと考えている。学会発表するほどのことではないけど、いろいろな意味でトリッキーなので、気になったのでブログに載せてみた。稀な疾患だけど少なくとも犬の特発性のアジソン病と同等ぐらいの頻度では診断できると思う。内輪ネタでした。

SFTS感染症にご注意!

 宇部市内と山陽小野田市内でSFTSに感染した猫が確認されています。SFTSはマダニから直接感染するだけではなく、SFTSを発症した猫から人が感染発症することがあります。猫は屋内飼育されることをお勧めします。

最終更新日

2024年12月10